私は過去に2回結婚歴がある。いわゆるバツ2である。
2番目に結婚したのは42歳の時で、出会いはその1年前。友達と2人で参加したお見合いパーティーだった。元夫を仮にKとしておこう。そのパーティーは軽食とアルコール付きだった。Kも友達と2人で参加していたが、パーティーの趣旨などおかまいなしにアルコールを飲みまくっていた。
彼の友達と私の友達が意気投合し、私も他に仲良くなった人がいたので、パーティーのあと5人で飲みに行った。その時にKともう一人の仲良くなった人とライン交換したのだが、押しの強さと情熱にほだされ、結局Kと付き合う事になった。人生は選択の連続である。あの時私は、天国行きか地獄行きかを迷い、自ら地獄行きの切符を手にしたのである。
Kは私より6歳年下でバツ1、小さい子供が3人いたようだが、離婚して子供との縁は切れていた。私たちはお互いにお酒好きで、友達を交えてよく飲んだが、Kが酔うとよく話していたエピソードがあった。過去に会社を立ち上げたが騙されて自己破産した事、浮気をした嫁を土下座させて謝らせた事、離婚時には、金品の要求は一切しないと元嫁に一筆書かせたというエピソードだった。Kはこれをドヤ顔で自慢話のように語っていたが、他の誰もすごいねなどと言う者はいなかった。
Kは結婚前の一年近くの間で、3回他人との揉め事を起こしている。目つきの悪さと、持ち前の気の短さで、トラブルと常に隣り合わせの男だった。お祭りですれ違った相手、飲み屋で座った斜め向かいの相手、カラオケで友人が連れてきた初対面の相手などだ。「てめえ何ガンつけてんだ?あぁ?」から始まり胸ぐらのつかみ合いになり、周りが間合いに入って仲裁するといったパターンだ。その中の一人には警察に被害届を出され、警察署に付き添った事もあった。カラオケボックスではKが暴れ、壁に穴を開けたため、修理代5万円を要求され、出禁になっている。ではどうしてその時点で見切りを付けなかったのか。怒りが収まり酔いが冷めたKは、借りてきた猫のように大人しく、頭をうなだれ反省しこう言うのだ。「本当に悪かった、俺には君しかいない。見捨てないでほしい」と。
結婚した直後はとにかくケンカが絶えなかった。それまで付き合った相手とはあまりケンカをする事もなかったから、怒鳴り散らすKを心から憎いと思った。100回は「死ね!」と思い「地獄に落ちろ!」と呪った。それでも時間を共にするうちに徐々にケンカは減って行った。私たちは一軒家を購入し、それまで住んでいたアパートから引っ越した。Kは初めてのマイホームの嬉しさもあってか、怒る頻度も減り穏やかな関係が続いた。しかしそんな日々も長くは続かなった。
引っ越ししてから1年余り、突然の別れの申し出があった。原因は私の付き合いの悪さだという。私は改善するよう努めるから考え直すよう言ったが、Kはもう無理だし気持ちは変わらないと言った。そして出かけると告げると、その日は帰って来なかった。結局Kが帰ったのは次の日の昼だった。遅くまで飲んでいたのか帰ってくるなり布団に直行した。投げ出した携帯を恐る恐る見てみた。モラルなど入って来る心の余裕はなかった。ラインの履歴には、見知らぬ女の名前があり「昨日は楽しかった」「会いたい」などやり取りがあった。な~んだ。そういう事か。
Kは家を譲る気はないとの事だったので、ペットのインコと服と最小限の荷物だけ持ち出した。家を出る時、Kに一筆書けと言われた。
「私は一切の金品の要求をしません」と書きながら、これも次の相手の自慢の種になるんだろうな…とどこか冷静な自分がいる私であった。


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