マッチングアプリ歴約6年、実際に会った人は16人いる。顔も思い出せない人から夢にまで見る印象深い人まで様々だ。事前に写メの交換やメールのやり取りをして、気が合いそうだなと思い会ったわけだが、会ってみるとちょっと思ってた人と違う…と思う事もしばしば(逆もまたしかり)今日はその中の「曲者じゃ!であえい!!」と叫びたくなった、曲者3人衆についてお話しようと思う。
「イタ車男」
年齢は私より1歳年上でバツイチ、仕事は食料品などの配送業をしていた。趣味は車いじりで動物好き。電話での印象も話しやすく、メールの返信もマメだった。写メの感じも真面目で誠実そうな印象を受けた。2週間ほどのやり取りを経て会うことになった。待ち合わせ場所にお気に入りの愛車で現れた彼。彼の車は、林家ペーパー夫妻が泣いて喜びそうな鮮やかなショッキングピンク。よく分からないアニメの美少女キャラが前面に塗装されており、選挙カーよりド派手で注目度120%の車だった。私は激しく後悔した。今すぐタイムマシンで家を出る前に戻ってドタキャンしたい…しかし目の前の彼は「さぁ 早く乗っておくれ!」と言わんばかりの120%のほほえみを浮かべている。私は半分やけくそで、どうにでもなれ!と車に乗り込んだ。通り過ぎる人がみなこの車を凝視する。笑ったり眉をひそめたり、指を差したりと反応は様々だ。この車はどこに向かうのか…地獄?この男は私を連れ去りに来た死神なのか?とても平常心ではいられない。私はなるべく下を向き、髪の毛で顔を覆うようにして一目をさけた。彼は知人がやっているラーメン屋に行こうと言うので従った。向かい合ってみると送ってくれた写真と実際の彼は、かすかに面影があるくらいでだいぶ違った。撮った角度なのか光の加減なのか、例えると写真写りは豹なのに実物は禿げたラクダだった。かなりの写真の腕前ということになる。見た目はともかく、毎回あの車に乗る勇気がなかった私は、帰ってから丁重に次回のお誘いをお断りしたのである。
「10円単位割り勘男」
年齢は私より2歳上。車の整備士で自営業を営む男性だった。バツイチで元嫁との間に3人の子供がいるそうだ。距離も車で片道2時間半と少し遠かったが、写真もメッセージの内容も、優しそうな人で一度お会いしたいと思い会うことになった。待ち合わせに現れた彼は、長めのニット帽と、ニッカポッカにハイソックスという異国情緒あふれるファッションに身を包み、なんとも不思議な雰囲気を醸し出していた。笛を吹くとツボからヘビが現れそうだ。いったいどこで買うのだろう。まじまじと見てしまう。私たちは話をしながら近くの遊歩道を歩いた。ヘビ使いファッションではあるが、子供思いの優しそうな人だった。そしてお昼時になり、豚丼の美味しいお店に食べに行った。席に座ると2人とも豚丼を頼み、会話しながら出来上がりを待った。そんな時、豚丼の甘辛くこおばしい匂いをかいくぐって、フワリと鼻につく臭いがあった。このドブのような臭いは何だろう…隣がトイレなのか?私は不快な臭いの正体を警察犬のごとく、鼻をヒクつかせ探った。するとその臭いはトイレでもドブでもなく、紛れもなく正面に座るヘビ使いの口から放たれていた。さっきまでの食欲が激減するのを感じた。今までは横にいたので気付かなかったようだ。それから彼がしゃべるたびに、豚丼の匂いを帳消しにするドブ臭が私を包み込んだ。まるで彼の口の中の住人になったようだ。一刻も早くこの事故物件から逃げ出したい…やがて豚丼が到着したので食事に集中し、言葉少なめに食事を済ませた。会計は1人1130円。彼が2人分の会計をし、店を出てから「私、自分の分出しますよ」と言い、財布を出した。1100円を渡したが100円玉と1円玉ばかりで10円玉が1枚もない。私は「10円がなくて…コンビニで崩してもいいですか?」と聞いた。正直、30円くらいならいいですよと言ってくれるかも…と淡い期待をした私がばかだった。「じゃあ通り道のセブンんに寄りますね!」と、ニッコリ笑ったヘビ使いは、本当にコンビニに寄ったのである。欲しくもないグミを買い30円を渡した。さっきは気づかなかったが、取り出した彼の財布がヘビ柄だったので「まさかペットのヘビであの財布を⁈」と一瞬ヒヤリとした私であった。
「ヤリモク男」
年はたしか私より3歳下。見た目は茶髪にあご髭、色付きメガネと、昔やんちゃっだったんだろうなと容易く想像のつく人だった。電話やメールのイメージ通り、良く言えばノリがいい、悪く言えばチャラい感じの人であった。私も「男の子って少し悪い方が良いの♪」というキョンキョンの歌の歌詞に、分かる分かる!と共感していた女なので好みのタイプでもあった。チャラい=軽薄というイメージはあるが、今にも止まりそうなサビだらけの軽自動車で3時間かけて来てくれたので、真剣に出会いを求めている人なのかもと思った。回転ずしに行き、楽しく食事をして会計も彼が払ってくれた。車に乗りこむと彼は、人気のない場所か静かな場所に行きたいと言い出した。それが何を意味するか察した私は、そのつもりはなかったので断った。それでも諦めきれないヤリモク男は、ショッピングモールの広い駐車場の端に車を止めた。そして白昼堂々と抱きつこうとしたり、キスをしようと接近したり野獣のように必死に迫ってきた。車の中とはいえ、人が通りかかると見られてしまう。私は断固拒否した。それにしてもキスを迫る男の顔を全力で押しのける事になるとは…1時間前は想像もしていない未来である。拒否し続ける私にヤリモク男も諦めたのか、家から少し離れた所まで送ってくれた。そして帰宅後、ラインで好みじゃなかったと言われ、あっさりふられた私であった。


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