今日は日曜日。予定は毎度の事ながら何もなし。用もないのに早く起きる。気持ちは10時まで寝ていたいのに、体は勝手に5時に目覚める。50代の悲しい特徴の一つだ。
本格的に冬が訪れ、日が昇るのは7時過ぎ。外はまだ暗く時間の判別も難しい。明るくなるまでゴロゴロネットサーフィンしながら時間をつぶす。
ようやく明るくなって来たので、敷布団をいそいそと畳み押入れにしまう。持ち上げる時は毎回「よっこい正一」と心の中でつぶやく。マットレスが劣化で破れているため、しまう時に毎回はみ出た綿の欠片が床に落ちるが見て見ぬふりをする。
5年前に元夫の強い希望で離婚が決まり、家を出て行ることになった。前夫と顔を合わせるのが嫌で、一刻も早くすべてを終わらせたくて、服と漫画とインコだけ連れコソコソと実家に戻ってきた。そのため大きい家具や家電などはすべて前の家に置いてきてしまった。ベットがないのは不便だが仕方がない。そのうちまた、いつ再婚して家を出るかも分からないし…と思い続けて5年間。10年はないでしょうと思うと希望が少し沸く。
洗顔と歯磨きを終え、日焼け止めを塗り外へ出て、堤防沿いをウォーキングする。持参するのはきんちゃく袋。ただ歩くよりもゴミ拾いをしながら歩いた方が、善行を積んだ気持ちになれるのでおすすめである。良い行いの見返りに、宝くじが当たるかも…と愚かな夢まで見てしまう。そんな低俗な私に当然宝くじなど当たるわけがない。せいぜい四葉のクローバーを発見するくらいだが、そのくらいで妥当だと思う。
吸い殻や菓子の包み紙が目につけば拾いながら歩く。ティッシュやマスクは素手で触るのは抵抗があり素通りする。
季節によってはⅤ字隊列を保ちながら飛ぶ、白鳥を見る事が出来て心がほっこりする。毎回「どうかあの子たちが無事に目的地にたどり着きますように」と勝手な母心で祈ってしまう。
雨上がりの時などは、いたるところに這うミミズを避けながら慎重に歩行する。またカタツムリは誰かに踏まれないように道端の横につまんで移動させる。以前誤って踏んづけてしまった時の、「カシャッ」っという感触が今でも忘れられないからだ。無事カタツムリ救出大作成は成功し、恩返しはいいよと心の中で恩を着せる。カタツムリにしたら、苦労してここまで這って来たのに元の位置に戻されて、ありがた迷惑な行動かもしれないが、踏まれるよりはいいだろう。
朝のウォーキングといっても、ゴミ拾いにミミズよけに、カタツムリの救出などアクションゲームさながらの忙しさなのである。合間には朝昼兼用のご飯は何にしようと考える。マネ活中のため、なるべく自炊でコストがかからないメニューにするようにしている。鶏肉があるから油淋鶏にしようか、酢鶏にしようか…体は50でも食欲は20代。食べ物の事を考えている時はいつも幸福感で満たされる。
自宅に着き毎朝、髪のブラッシング前に頭皮マッサージを行う。顔のたるみ防止のため毎朝行うが、効果が出ているかは不明である。しなかったらもっとブルドック化が進行していたかもしれないので、このまま続ける予定である。マッサージにはAmazonで購入した充電タイプのマッサージ器を使っていて、これが大変重宝している。もう3年は使い続けているから元は充分とった。気持ちも良いし、頭の皮膚の振動で自分の顔が滑稽に変形してるのを観察するのは面白い。
掃除、洗濯、買い出しを済ませご飯支度だ。油淋鶏とかカッコいいことを言っていたが結局面倒くさくなり、卵かけご飯とカップ焼きそばにする。朝の体力よりだいぶHPが消耗しているのだ。揚げ物はハードルが高い。卵かけご飯は普通のではつまらないので、塩昆布と鶏ガラスープの素とゴマ油を足して混ぜる。カップ焼きそばにマヨネーズは必須だ。週に一度のチートデーのため、カロリーだの栄養配分だのは一切考えない。炭水化物をおかずに炭水化物を食す。これがこの世の極楽だと呼ばずしてなんと呼ぶのか。今回の卵かけご飯は大当たりだ。ゴマ油の風味と塩昆布のうま味に、卵かけご飯の優しさが混ざり合い絶妙な美味しさだ。この先5年はこの卵かけご飯でいいと静かな決意を固める。
ご飯を食べたら後は空白の時間が続く。今日はアマゾンプライムで映画でも見ようか。
ハラハラドキドキを求めて「エクスペンダブルス」という映画を見る。アクションシーンもさることながら、スタローンにシュワちゃんにミッキーロークと豪華キャストで見ていてワクワクする。しかしミッキーロークは昔、ボクサー役で出てた映画で猫パンチしてたよな~と雑念が沸いたり、ブルースウィリスのそっくりさんのプチ・ウイルスは今頃どうしているだろう…と検索を始めてしまい、なかなか話が入って来ない。
夕方になりお風呂タイムである。水道代がもったいないので日曜だけ湯船につかる。湯船に浸かっている間は退屈なので小説を読む。湯船用の小説を何冊かピックアップして繰り返し読んでいるため、どの本も原型をとどめないほどヨレヨレである。うんと長風呂してカロリーを消費する。もちろん本日のメインイベントの晩酌に備えるためだ。お風呂上りは体が乾かぬうちに、全身に菊正宗の乳液を塗る。コスパも良く大容量のため惜しみなく塗れてお気に入りだ。ドライヤーの前にオルビスのヘアミルクを付けブラッシングし、髪を乾かしたら料理開始だ。
お昼に作る予定だった油淋鶏を作る。下味を付けた鶏肉に片栗粉を付け揚げる。揚げ物の音は、目を閉じて聞き入ってしまうほど心地よいサウンドである。カリカリに上がった揚げたての鶏肉に、甘辛いタレをかけるとジューッとタレが染み込む音がする。口の中はレモンと梅干を同時に見たくらいの唾液量で今にも溢れそうである。
晩酌前が一日で一番胸が高鳴る瞬間だ。凍る寸前までキンキンに冷やしたビールを、水分を極限まで我慢した喉に流し込む。冷たいビールが喉と食道に染み渡る。この瞬間、生きてて良かった~!と思う。毎日飲むので毎日思う。ビールの次は焼酎である。一杯で手っ取り早く酔いたいため、ビールジョッキに水と焼酎を1:9の割合で注ぐ。もはや味もへったくれもない、ただ酔っぱらうための焼酎である。飲んで食べたら後は寝るだけ。歯を磨いたら食後5分ですぐ横になる。
今日も贅肉を蓄え泥のように眠る私なのだった。



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