孤独な連休の過ごし方

 独身で恋人も友達もいない私にとって、連休というのはクリスマスと同じくらい苦痛な行事である。2連休でさえ何して過ごそう…と戸惑ってしまうのに、これが5連休、6連休に及ぶと、その期間中ずっと眠りにつける秘薬でもないものかと本気で考えてしまう。
 若い時は永遠に時間があると思っていた。1日中ジグソーパズルをしていようが、半日スタバの窓から人間観察していようが罪悪感など抱かなかった。しかし53歳の今、あと何年…と見通しがつくほど時間は「かけがえのないもの」に変化している。それなのに早く過ぎるよう願うなんて、落ちている1万円札を素通りするくらいもったいない。
 しかし連休だからといって浮かれてむやみに外出するのは危険だ。公園は幸せそうな家族連れで溢れかえり、ショッピングモールでは恋人達が腕を絡ませ楽しそうにはしゃいでいる。自分の孤独な現状を痛感し、自宅に帰り1人落ち込むハメになる。こんなに長く独身をやっているのに、人目を気にしない術をまだ身に着けていなない。
 

 連休じゃなくても休日に行くのは要注意な場所がある。それはニトリやIKEAなどのインテリアショップだ。以前トイレのお掃除ブラシを買い替えようとニトリに行った時のことだ。明らかに駐車場の空きが少ない。セール中でチラシでも入っていたのだろうか…そう思いながら入店して「やっちまった~‼」と後悔した。
 その日は日曜日。店内は前途洋々な、夢と希望のオーラを全身からプンプンと放つカップルと家族で溢れかえっていた。みな一様に目をキラキラさせ、弾んだ声で店内を物色している。あまりにも自分との温度差があり過ぎる。このままでは幸せオーラの波にのまれて溺れてしまう。
 危険を察知した私は、周りが見えないよう目を伏せ、わき目も降らずブラシを購入しその場を去った。急いだおかげでバリバリタイプのトイレブラシを購入してしまった。本当はやわらかタイプが良かったのに…話はそれたが、こんな女は外に出るべきではない。今回の連休は自分の自尊心のためにもひたすら家で過ごそうと決めた。


 ソロ活女子のススメ」というドラマがある。江口のりこさん扮する早乙女恵のソロ活をテーマにしたドラマだ。彼女はソロリムジンやソロラブホやソロフレンチなど、本来は誰かと行くような場所に一人で出向き、新しい発見をし小さな幸せを体感するという、まさに独り身を謳歌するドラマだ。
 では現実はどうだろう?毎日定時で仕事を終え、おしゃれな洋服に身をつつみ、毎週のようにソロ活にあけくれる。「せんべろ」や「焼肉」はそれほどの出費ではないが「ヘリクルーズ」「気球」「台湾旅行」などはかなり高額のソロ活だ。3万円~10万円はかかりそうだ。契約社員の彼女がなぜこの優雅な暮らしを維持できるのか…
 そのカラクリは「親の援助」ではなかろうか?私の貧相な想像力ではこれしか思い浮かばない。親の援助など18歳で打ち切りになった私にとって、このドラマはまさにファンタジー、遠い世界のおとぎ話なのだ。では人目を気にする貧困版リアルソロ活女子は何をすればいいのか?
 

 最もお金のかからないソロ活それは「読書」「テレビ」「料理」である

 今回の連休は外出を最小限にして、有意義な自宅時間を過ごそうと決めた。
 まず読書である。本は大型書店のような人の多い所は避け、図書館で借りる。図書館は静かで閑散としていて独り身にはうってつけである。何にも心惑わされる事なく、穏やかに過ごせるお気に入りの場所の一つだ。私は好きな作家の本を2冊見つくろい借りた。
 
 次に、テレビでネットフリックスの海外ドラマをひたすら見る。カテゴリーは、恋愛や家族愛など心温まるものとは真逆のカテゴリーだ。強奪、虐殺、強姦何でもありの中世の海賊のドラマである。我ながら歪んでるなと実感する。ただあまりに度が過ぎると、夢で異常者に刃物で襲われる夢を見たりするため、寝る前にバラエティなどを挟みワンクッション置くと良い。

 最後に一大イベントの料理である。自慢じゃないが私の食への執着心は一級品だ。昼食を食べ終えた時から、もう次の晩ご飯の事を考えている。好きな料理家の本を見て、気になるものを片っ端から作った。ところがそのレシピ本は、全て2人前の分量の掲載であった。一人分作るのも材料が余るし、作り甲斐がない。結局掲載通り2人前の量を作り、1人で平らげている。
 連休3日目現在、ズボンがだいぶ窮屈になってきた。お腹を全力でヘコまさないとボタンが止められない。予想通り腹肉が目に見えて増量しており、ダルマから足が生えているようだ。鏡に全身を移すときは全力でお腹をヘコまし現実逃避している。明日は一人前にしよう。

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